突如として現れた牙王ロウガの姿に、楓の中でなにかが氷解していく。 「どーしたの。らしくないじゃん」 いつもと変わらず得意満面に笑ってみせる柊に、楓は心転身之術によって広がった感覚が元の身体に戻るのを感じた。 「柊…?」 呟くようにその名を呼ぶ楓に、柊はうんうんと何度も頷いた。 「楓、オイラたちはそんな戦い方しちゃダメなんだ。忍者として、自我を殺して戦うのは当然かもしンない。でも、オイラたちはただの忍者でいちゃいけないんだよ」 柊の言葉に、楓は初めて周囲の惨状に目を向けた。木々は荒れ、山の野は焼け、周囲は楓の技による影響で、とても生物の住めるような場所ではなくなっていた。 そして掌にべっとりと付着したレヴィトの体液に、楓は「ひっ…!」と悲鳴に近い声を漏らす。 忍者としては間違っていない。しかし、楓や柊はただの忍者ではない。そうであってはならないのだ。 忍巨兵という強大な力を有し、その力を行使せねばならない立場にある。一歩間違えれば自身が破壊者になってしまうような力だ。心なき技がどのような結果を生むか、決して想像に難くはない。 「赤【せき】よ、オメェがついていながらなんてザマだ」 そんな牙王の言葉に、鳳王はムッ、とした表情を浮かべる。 「お言葉ですが青【せい】。こちらにも事情というものがあります」 心転身之術を使われ、身体の主導権を奪われた状態でいったいどのようにして暴走した楓を止めろというのか。 「わかってねぇな。アッツいハートで止めるンだよ。なぁ、相棒?」 「ハートはともかく、楓もクウガも間に合って良かったよ♪」 そういえば、柊は楓とは違う場所を目指したはず。楓の記憶が確かならば、あちらの目的地はここからかなり離れていたはずだ。 それが今、この場に新たな忍巨兵と共に駆け付けたというのは、いったいどういうことなのだろうか。 「柊がよぉ、いきなりヤな予感がする≠ネんて言うモンだからよ…」 「ロウガが赤になにかありやがったな≠チて言ったのが先じゃなかったっけ?」 つまり二人が共に、半身の身を案じていたというわけだ。 しかしその虫の知らせ的な予感は、さすが双子と言うべきか。遥か遠方からその危機を感じ取るとは、どこか超能力じみているようにさえ感じる。 双子にはそういった能力があるという説もあるが、あながち間違いではないのかもしれない。 「楓にはオイラがいる」 「赤にはオレがいる」 「なんでもかんでも、一人で背負わなくていいんだよ、オイラたちは」 双子なんだから…と。 その言葉に、楓の中で張り詰めていたなにかが完全に砕け散る音が聞こえた。 なんということだ。自分が、自分が、と考えるあまりに、本来成すべき事を、本来あるべき姿を忘れていたなんて。 望めば届くところに、それはずっとあったというのに。 そうだ。あのときに楓は誓ったはずだ。二人で風雅の力になるのだと。二つの牙と、二つの翼で。 「ごめんなさい」 「うんにゃ。オイラもついさっき、なんかわかったばっかりだしね」 どこか変わったと印象を受けたのは、どうやら勘違いではなかったらしい。柊は柊で、新たな忍巨兵牙王と共に、なにか大切なことを身に着けてきたということか。 その何かがなんであったのかはわからない。尋ねようとも思わない。そうだ、今すべきことはそんなことじゃないはずだ。 「オォォマエらァァ、ええ加減にせぇやッ!!! 散々タコッてあとは談笑かいなッ!!! ええ加減ウチもキレたわッ!!! オドレらまとめてミンチやッッ!!!!」 膨れ上がる怒気と殺意。それがそのままレヴィトの力だとでも言うかのように、レヴィトの身体が徐々に巨大化していく。 身体はより醜悪に、爪や牙はより凶悪に変わっていく。更に、こともあろうか、落ちた腕まで再生する始末。 「ありゃ…。あの状態でまぁだパワーアップできンだ」 感心したように声を漏らす柊に、牙王もまったくだと溜め息を漏らした。 「楓、今こそワタシたちの真なる力を見せるとき」 「真なる力…?」 鳳王に促されるように振り返れば、そこには互いの半身の姿がある。 二人はいつでもいけるとばかりに、拳を掌に打ちつけた。 「まさか……なれるのですか!? ダブルフウマに!」 それは、楓と柊の真の姿と言っても決して過言ではない。 二人で一つ。それが楓たちの本当のバトルスタイルなのだから。 「オイラはロウガに聞いてたかンね。いつでもいけるよ。双王式忍者合体!【そうおうしきにんじゃがったい】」 本来、牙王と鳳王は忍び要らずの忍巨兵と言われていた。それは互いを補う性能を有していたということもあったが、実際には、二つの忍巨兵を合体させることによって、感覚を共有する忍びの意識が混濁する恐れがあったためだ。 それは角王式忍者合体ホーンフウガとは異なる、双王ならではの能力による障害。 しかし、この風魔の二人ならばできる。それは確信に近いものがあった。 二人で一つという強固で確かな意思。それこそが双王に必要な要素なのだから。 「鎧の双武将ガイ・レヴィト。先ほどは失礼をいたしました…」 改めて向き合う楓の表情は、さっきまでのどの楓とも明らかに異なる。これが、本当の風魔楓なのだ…と。 「これからが本番です。風魔と風雅の双刀、貴女に砕けますか?」 不敵に笑う楓に、レヴィトは大気を震わすほどの怒りの咆哮を上げる。 ここまで舐められたのは、いったいいつ以来だろうか。 「ええわッ!!! 信長の前にオドレら先にブチ殺したるッッ!!!!」 踏み付けた地面が磨り鉢状に陥没する。どうやらパワーは先ほどと比較にならないようだ。 しかし、それでも楓には確信があった。 レヴィト一人では双王の敵ではない 「双武将と言いながら単身で攻めてきた貴女に、勝ち目はありませんよ」 そう言って、楓は闇王式甲糸に鳳王の勾玉をはめ込む。 「悪いケド、ガイ・ヴァルトは先に倒したかンね」 柊もまた、手にした牙王の勾玉を握り締める。 「「流派統合っ!」」 二つの輝きが一つに交わっていく。赤と青によって紫が生まれるのではなく、二つの輝きが互いをより強いものに変えていく。 「「風雅流奥義っ、表裏一体っ!!!」」 奥義の作り出す術式の壁を、赤い鳥と青い狼が突き抜けていく。 ダブルフウマと同じく、鳳王を上半身、牙王を下半身に変形させて繋ぎ合わせる。 胸には鳳王の鳥頭が倒れ、、赤を基調とした双王の頭部が現れる。 眼前に出現した赤と青の鎧は、バラバラに分解すると両肩に双牙の頭が、鳳王の翼と交差するように双羽の翼が付属される。 腕の爪パーツはそれぞれ右腕と左腕に装着され、足の突起パーツもまた、同様に両足に装着される。 X字に広がる翼の付け根から鳳凰の尾羽が広がり、額の水晶に風雅の印が浮かび上がる。 この間、僅か二秒。 柊の、楓の、ロウガの、クウガの意識が、双王の身体を通じ新たな戦場で今ひとつになる。 「「双王式忍者合体…っ!! ラグナッフウガァァッ!!!!」」 赤と青の結晶ともいうべき双王の姿に、怒りに震え上がっていたレヴィトの瞳が驚愕に開かれる。 それは過去の双王を超えた神々しさをもち、獣王に勝るとも劣らない雄々しさを兼ねそえる。 「そんな…、そんなこけおどしなんてなぁぁぁぁッ!!!」 レヴィトの跳躍で大地が裂ける。そのパワーはもはや忍巨兵の比ではない。 だが、それほどの攻撃にも関わらず、双王は振り下ろす爪を難なくかわすと、後方への跳躍と同時に胸の鳥が炎を生み出していく。 「鳳凰烈火っ!!」 楓の声で放たれる炎は、鳳之舞を凌ぐ大きさと火力の火の鳥に変わり、レヴィトを焼き尽くさんばかりの火柱を上げる。 「効かんッ!! 忍巨兵の攻撃なんか屁とも感じひんわッッ!!!」 腐っても双武将か。鳳凰烈火を無理矢理に引き千切ると、凄まじい憎悪で両の片腕を肥大化させていく。 あんなものの一撃を受ければただでは済まない。元来、忍巨兵は防御には向いていないのだ。 「楓、あの調子だと避けてから攻撃したんじゃ間に合わない」 先ほどのも余裕をもってかわしたつもりが、双王は凄まじい圧力を受けていた。 完全に避け切ってからの攻撃が防御される以上、レヴィトに致命打を与える手段はひとつしかない。 「できるの?」 「トーゼン♪」 間髪入れずに応える柊に、楓はわかったと頷くと柊に双王の主導権を明け渡す。 「んじゃさ…、いっくよおっ!!」 勢いをつけて駆け出した双王が、レヴィトの数歩手前でもう一度足を踏み切る。 その瞬間、レヴィトの目の前にいたはずの双王は忽然と姿を消し、代わりにまったく別の忍巨兵が姿を現した。 「「双王変化…、ラグナフウガ弐式っ!!!」」 通常のラグナフウガを壱式とすれば、ダブルフウマのビースト形態にあたるこの近接格闘戦型の姿は弐式。 ラグナフウガの頭部は収納され、胸にきていた鳳王の鳥頭が背中まで反り返ると、両肩の双頭が外れ、逆立ちと同時に腕を脚に、脚を腕に変形させる。 胸には牙王の狼頭が現れ、両腕に双牙の双頭を装着し、背中に反り返った鳥頭を尾のようにうねらせ、青を基調としたラグナフウガの新たな頭部が現れる。 双牙と双羽の爪パーツと突起パーツは、それぞれが弐式の脚の前後を覆い、細く見えがちだった弐式の脚を強化する。 翼は全て下ろして腰垂れになり、地上専用の近接格闘戦型へと姿を変える。 瞬きの間に組み変わる新たな姿に虚をつかれ、振り下ろすタイミングの遅れた攻撃など物の数には入らない。 腰を低く落として潜り込むように間合いを詰めると、同時に突き指すような後ろ蹴りで顎を打ち上げる。 「大振りすぎだよ!」 「調子に乗るなやッッ!!!!」 捕まえようというのか、そのままの体勢で腕を交差するが、猫のようにスルリと抜け出した双王は、下段回し蹴りでレヴィトの脚をまとめて薙ぎ払う。 仰向けに転倒する。だが、それは足元でしゃがみこんでいる双王を攻撃するには好都合だ。 自ら肘を突き出し、エルボードロップの要領で倒れこむレヴィトに、馬鹿にしているのかと柊の表情が僅かに曇る。 たとえ体勢が崩れていようとも、双王となった柊を相手に、それはあまりに無謀な行動だ。 打ち上げるように後頭部を蹴り上げると、強烈な回し蹴りでレヴィトを側面から吹っ飛ばす。 「おっと、そっちにいったらダメだって…」 これ以上、山の被害を拡大するわけにはいかないと、後から追いかけたはずの双王が、いつの間にかレヴィトの着地点で待ち構えている。 想像以上の速度に驚く暇もなく、跳躍しながら横回転を加えた双王の尾が、レヴィトの頭を鞭のように、それでいて強靭な獲物で殴りつけられたかのような衝撃で再び吹っ飛ばしていく。 「んじゃ、楓交代」 「任せて」 柊が主導権を手放した瞬間、楓の感覚が双王に広がっていく。 「「双王変化、ラグナフウガ参式…!」」 双王が再び逆立ちをすると、壱式の姿へとその形状を巻き戻していく。だが、違うのは壱式への変形過程と違う部分があることだ。 双牙の双頭を背中に装着すると、大きく開いた顎が巨大なバーニアとなる。 赤と青の鎧の爪パーツと突起パーツは、壱式と同じく両腕と脚へ。赤を基調とした頭部が現れると、先に背中から分離していた小型の鳥状になった盾と、先端に胸の鳥頭を接続したものを右腕に装着する。 バランスの良い壱式、陸戦近接攻撃型の弐式に続き、空戦遠距離砲撃戦用の参式。 この三種を使いこなすことで、双王は性能以上の力を引き出し、風雅を勝利へと導く忍巨兵となる。 「火遁、鳳之息吹!!【おおとりのいぶき】」 右腕の盾についた小型の鳥頭から、火遁フウガパニッシャーを連想させる熱閃を発射する。 「鳳凰裂羽!!【ほうおうれっぱ】」 翼から放たれる炎の羽が、手裏剣の雨のごとく降り注ぐ。 熱閃と炎の手裏剣の集中豪雨が直撃と同時に爆発を起こし、レヴィトは転がる間もなく再び舞い上げられる。 この期を逃すわけにはいかない。畳み掛けるように大技を。そう考えた楓に、突然柊の意識が割り込んだ。 背後を指す柊に振り返れば、そこにはようやくすべての機能が正常に復元された闇王の姿があった。 なるほど、そういうことか。 手早く闇王式甲糸に黒い勾玉をはめ込み、闇王とのリンクを開始する。 「闇王…、闇王モウガ、聞こえますね」 楓の呼び掛けに、闇王は頭痛を振り払うように何度か頭を振ると、聞こえていると頷いた。 「ガーナ・オーダを滅するため、今一度貴女の力を貸してください」 「ボクの力…かい?」 朧気に思い出されるのは、闇王の巫女の最期と蘭丸の怪しい笑いだった。 だが、それで十分。共にガーナ・オーダを討つには十分過ぎる怒りだ。 「風魔のクノイチ、見事ボクを使いこなしてみるといい」 闇王式甲糸を通じてモウガの全てを感じ取る。 まるで頭に直接マニュアルが流れ込むような感覚に、楓は驚きを感じていた。 どうやら闇王は、楓と忍巨兵の契約を交わすつもりらしく、楓は双王に尋ねるような瞳を向ける。 だが、双王は明確な回答は寄越さず、ただ一言… 「貴女の器が試されるとき」 と静かに告げたのだった。 二体の忍巨兵を同時に御する力と采配。いいだろう。求められているのなら、それに応えるのが礼儀というものだ。 「貴女の力と志し、確かに受け取りました。ならば今こそ…」 右腕を振り上げ、闇王の勾玉を発動させる。 「「風雅流っ奥義之弐、武装巨兵之術っ!!」」 壱式に変化した双王の右腕に、巨大な爪──影魔爪に変化した闇王が接続される。 「にゃ〜るほど。楓、こーゆーの得意じゃん♪ 任せるよ」 柊の言葉に頷き、楓は感覚の繋がった新たな五指に、想像しうる全ての力を注ぎ込む。 「「闇王式…、爪刃合体! ラグナフウガ・ゴッドハンドっ!!!!」」 掌を突き出すように構える双王に、レヴィトは抵抗の意思がないとでも言うのか、立ち上がりながらもぐったりとして動かない。 なんらかの策かと疑うが、それならそれで、策ごと打ち抜けばいいだけのこと。 影魔爪から伸びる見えざる糸がレヴィトの自由を奪い、それは瞬く間に全身を巻き取り巨大な繭を作り上げる。 「鎧の双武将ガイ・レヴィト…、風魔のクノイチ楓が貴女を滅します」 その言葉に、なぜかレヴィトが笑ったような気がした。 楓に殺されるなら本望だとでもいうつもりだろうか。それほどに固執されていたというのは、どこか気恥ずかしさを覚えずにはいられなかった。 繭に抵抗の素振りはなく、楓はためらいがちに糸を引く。 「さようなら、ガイ・レヴィト…!」 糸を引くのではなく、糸に引かれるように飛び込んでいく双王は、鋭利な五指で繭を鷲掴みにする。 少しの力を加えるだけで指先が沈む。 楓は迷いを断ち切るように頭を振ると、想像しうる全ての力を影魔爪に流し込んだ。 「暴食…! 黒之顎っ!!!!」 振り下ろした鋭利な爪が繭をバラバラに引き裂いていく。なんの抵抗もなく切り裂かれていく双武将に、楓は謝辞を告げるよう瞼を閉じた。 認めてくれた。敵ながら、レヴィトは楓を認めていた。楓を好きだと言ってくれた。 それは、親兄弟にさえ告げられたことのない、確かな愛情だった。 次の瞬間、楓は右手を振るい、影魔爪の斬糸を以てレヴィトの亡骸を可能な限り粉々に削っていく。 (ガイ・レヴィト…、どうか次の世では人としての生を…) 風に乗って散りゆく敵将に、楓はそう願わずにはいられなかった。 押し黙る楓に代わり、柊は双王の翼を大きく羽ばたかせ、痛みも、辛さも、哀しみも、全てを吹き飛ばしていく。 「帰ろ」 そう告げた柊に頷き、楓はレヴィトの攻撃で散っていた髪を改めて束ね直す。 ふと、こちらを伺う柊と視線が交差して、楓は何事かと首を傾げる。 「いやね。オイラたちさ、昔ほど似てないよな〜…って思ってサ」 昔は鏡写しのように似ていたはずなのに。確かに、成長するにつれて顔立ちなどの違いは大きくなっていった。しかし、根本的なことはなにひとつ変わっていない。実に良く似ていると楓は思う。 だからこそ、楓はどこか悪戯っぽい笑みを浮かべると、柊にこう告げるのだった。 「そうでもない。私たちは…、鏡合わせのような双子よ。きっと…」 その言葉をどう受け取ったかはわからない。だが、少なくとも柊は、違いない、と笑っていた。 こうして、新たな力を手に入れた風魔の忍者たちは、再び集うために飛び立っていく。 勇者忍者に選ばれし少年と共に戦うため、少年が選んだ主を守るため。 ついに、双王が目を覚ました。 忍巨兵の去った戦場に、怪しげな空気が満ちていく。 それは、どことなく忍邪兵を生み出す巻物と似た、澱みのある禍々しい空気だった。 「オイ、いつまで死んだフリしてやがる」 ここに在るはすのない者の言葉に、一部の土が膨れ上がっていく。それは次第に形を成していくと、つい先ほど粉々にされたはずの双武将、ガイ・レヴィトの姿となる。 まるで寝起きの猫のように伸びをするレヴィトに、もう一つの影──ガイ・ヴァルトは、忌々しそうに舌打ちした。 「いくら死なねぇとはいえ、負けてやるのは性に合わねぇ…!」 ヴァルトの言葉に、レヴィトは自分の指先を慈しむように、ぺろりと舐め上げた。 「しゃあないやん。風雅に少しでも力与えとかんと、蘭ちゃん出し抜くンは無理やで」 レヴィトたちの目的には、蘭丸が大きな障害になることは間違いない。 ならば、邪魔な者同士、せいぜい潰し合って消耗してもらえばいいだけのこと。 狙うは風雅の当主でも、忍巨兵でも、姫でも、ましてや勇者忍者でもない。 「まっとれよ、信長ぁ。アンタの首はウチら鎧の双武将が頂くで♪」 落ちる日を背にそう告げるレヴィトに、ヴァルトもまた、ニヤリと不気味な笑みを浮かべる。 殺し合い、潰し合え。そしてすべてに戦いが満ちたとき、世界を統べるのは…。 |