振り下ろされた爪の放つ圧力に顔をしかめながら、獣王クロスは手にした刃に力を込める。 「何者だッ!?」 黒い獣王が獣岬めがけて放った初撃をなんとか弾き返し、マスクを装着しながら忍者刀の切っ先を突きつける。 己に良く似た姿に違和感を覚える。 (これが椿の言っていた十四体目の忍巨兵なのか…) いつでも飛び出せるよう腰を低くして相手の出方を伺う。 「もう一度問う。何者だ」 獣王の問いに、黒い獣王の瞳が殺意をもって応える。 次の瞬間、黒い獣王はクロスと同様に人の形へと変化すると、僅かにこぼれる笑みを隠すかのようにマスクを装着する。 「何者…だと?」 腰から忍者刀を抜き放ち、逆手に構えたまま獣王と対峙する。 一方、陽平たち同様に学校を抜け出して来たのか、獣岬まで駆けてきた翡翠は、肩を大きく上下させながらはぁはぁ、と息を切らせる。 見上げる先で対峙する二体の獣王に、翡翠の中でなにかがはぜた。 「カオス…」 そして背後に近づく足音に、髪を揺らして振り返る。 「あにうえ」 記憶の中にある姿がそこにあった。唯一、初めて見る銀の仮面は、彼の左反面を覆い、凍てつくような瞳が翡翠を見下ろしている。 なにかが違う。無意識のうちにそう感じたのか、翡翠はそれ以上動くことはなく仮面の男をただじっと見上げる。 「翡翠…か」 名を告げられ、翡翠の足が自然と前へ出る。 「生きていたのか」 呟くような男の声に、翡翠は涙を溢れさせながら手を伸ばす。 「あに…うえ」 覚えている。この声を覚えている。この声が自分を呼ぶのを覚えている。 堰を切ったかのように涙がこぼれ落ち、嗚咽を鳴らす。 間違いない。この男は、この黒衣の青年は自分の兄だ。 「あにうえぇっ!」 飛び込んでくる翡翠の叫びに男がゆっくりと手を振り上げる。手にしているのは、黒光りする大振りのクナイ。 そして感情のない瞳は妹へ向けて振り下ろされた。 ギィィィンン…!!
そんな甲高い音が響く中、翡翠は何が起こったかわからないかのようにゆっくりと兄の姿を見上げていく。 しかし、翡翠と男の間に割って入った影は振り下ろされた刃を逸らすと、すかさず刃を横一文字に走らせる。 「影衣…」 斬撃を難なくかわし、僅かに距離を置く男に、シャドウフウガ──陽平は油断なく睨みつける。 「てぇめぇ…、翡翠の兄貴なんかじゃねぇな!?」 実に間一髪だった。相手の斬撃速く、翡翠を抱きかかえて逃げる暇さえなかった。 (先に来て正解だったぜ) 授業をすっぽかして来てみればパートナーは黒色の獣王に苦戦を強いられ、姫は兄と呼ぶ相手に殺されそうになっている。 イマイチ状況を把握できてはいないが、例え姫の兄であろうとも悪意を以て翡翠の影を踏む者であるならば… 「ぜってぇ許さねぇ」 陽平の言葉が男にとって愉快であったのか、仮面の男はあざ笑うかのように口の端をつり上げる。 「なにがおかしいッ!!」 「…滑稽だな」 「なにッ!?」 男の言葉に陽平が吠える。 「我が名は釧【くしろ】。それの兄に相違ない」 完全に固まっている翡翠を顎でしゃくる釧に、陽平は更に吠えた。 「ふざけンなっ!! 兄貴が…兄貴が殺意を以て妹を見下ろしたりするもンかよッ!!」 陽平の言葉に、それがどうしたと言わんばかりに釧は身構える。 「あのまま朽ち果てていればこれ以上の地獄を見ずに済んだものを…」 吐き捨てるような釧の言葉に、翡翠の目尻から涙がこぼれ落ちる。 「てぇぇめえぇッ!!」 吠える陽平の斬撃をことごとく捌き、跳躍した陽平の襟首を無造作に捕まえ、勢いを利用して地面に叩きつける。 「かっ──!!」 背中を強かに打ちつけられ、陽平の顔が苦悶に歪む。 「ようへいっ!」 翡翠の叫びを鼻で笑い、釧は転がった陽平を思い切り蹴り飛ばす。 「弱いな。獣王の認めた勇者忍者が聞いて呆れる」 「なんだとぉ!!」 「キサマが弱すぎるのか? それとも獣王がその程度か?」 刹那、風切り音と共に足下に突き立った矢に釧の表情が険しいものに変わる。 「仲間か」 振り返る視線の先には、弓を構える光海と、その両脇から飛び出した青と赤。 瞬く間に間合いを詰め、柊が蹴りを放ち、楓が手刀を突き出す。 陽平が相手ならばこの一撃で致命打を与えられたかもしれない。しかし、釧は重心を僅かに後ろへと傾けると、柊の脚めがけて己の蹴りを叩き付ける。蹴りによって目標を逸らされた柊の脚は、楓の手刀にぶつかり失速する。 「にゃろ!!」 「くっ…!」 柊の脚は手刀で裂け、楓の指先が蹴りで爪を割る。 たったの一撃で自慢の武器を破壊され、二人が僅かに後ずさる。 「つまらん」 「これならどうだよっ!」 哀れむように見下す釧に、柊が再び間合いを詰める。 「火蓮脚【かれんきゃく】ッ!!」 瞬く間に間合いを詰め、全身のバネが軋みをあげるほどの蹴りが放たれる。 釧の目にも無数に映る凄まじい蹴り。だが、僅かな焦りも感じさせず、釧は己の脚をまるでロケットのように蹴り上げる。 無数に映るほどの速度を誇る連続蹴り。しかし、釧の放つ蹴りはその脚を正確に捉え、身軽な柊の身体をすくい上げるように弾き飛ばす。 「速いだけだ」 つまらなそうに呟く釧の脚が振り上げられ、柊の火蓮脚を凌ぐほどの連続蹴りが打ち落とされる。 連続蹴りは確かに驚異的なものだが、片足が軸になるために安定さに欠ける。故に少しでも別方向への力がかかればご覧の通り。 放つならば相手の体勢が崩れた隙に、上から下へ打ち落とすように放つのが効果的。 しかし、常人ならば棒立ちで受け続けるしかないほどの柊の火蓮脚を一瞬で見切る実力者とは。 (椿さんが不覚を取ったってのもまんざら冗談でもねぇらしいな) 転がっていく柊を助け起こし、陽平は悔しそうに舌打ちする。 「でしたら…、次は私が相手です」 両手にクナイが構えられ、楓は風と共に駆け出していく。 「風魔流、飛閃っ!!」 突風と共に襲いかかる刃の嵐。だが、やはりこれにも釧はさして興味がないかのように鼻で笑い、突風と共に己の手刀を打ち出した。 「そんなっ!?」 楓の放つ刃は全て弾かれ、釧の手刀が楓の脇腹に痛々しくめり込んでいく。 声にならない声を吐き、圧迫された肺が空気を求めるように楓は何度も噎せかえる。 「楓っ!?」 「その技、投擲で放つならば並みの相手までにしろ。この俺には通じん」 釧の言葉に、陽平の背中を冷たい汗が流れ落ちる。 (冗談じゃねぇ。こいつ、俺の鬼眼みたく見た技をコピーするだけじゃねぇ。微妙にアレンジ加えてやがる上に、技の欠点を一瞬で見抜いてやがる) 傷ついた二人を庇うように立ち上がり、陽平は獣王式フウガクナイを構える。 「ヨーヘーっ!」 「心配ねぇよ。俺には無敵の鬼眼があるんだぜ。光海はクロスの援護に行ってくれ」 それが出任せであることは自分が一番良くわかっている。 鬼眼は決して無敵などではない。一度見た動きをそのままコピーできる便利な能力ではあるが、見えなければ一緒であるということ。自分の能力が足りなければ身体を壊しかねないこと。そして、先手には向かないということ。 (あと、欠点まで一緒にコピーしちまうこと) それに比べ、釧は相手の動きを一瞬でコピーして、更には欠点さえも見抜いてアレンジを加えてくる。 「鬼眼…。そうか、キサマも持っているのか」 その言葉に陽平の肩がビクリと跳ねた。 今の釧の言葉で全て合点がいった。この男もまた、鬼眼を持つ者であるということ。しかも、能力は陽平のそれよりも高い。 互いがもつ本来の能力。更には鬼眼を加えてみても、分の悪い賭にしかならない。 しかも、こちらは影衣を身につけているのにこれだけの差。 「冗談じゃねぇぞ」 呟くように苦笑を浮かべ、左手にもクナイを握りしめる。 「茶番はよせ。飛閃と言ったか…、俺には通じん」 構える陽平にあざ笑うように釧が告げる。 だが、陽平は柊のような蹴りも、楓のような突きも持ち合わせていない。 (こんなことなら技の一つでも考えとくンだったぜ…) 技だけに頼る戦い方はいずれ足下を掬われるが、いざという時に頼れるものがあるのとないのとでは雲泥の差だ。 ましてや、陽平は柊や楓のように指導を受けているわけではないために、攻撃も防御も型というものを持たない。 獣王と森王之射手は概ね善戦しているようだが、このままでは先にこちらがやられてしまう。 「キサマにその気がないのならばこちらから行かせてもらうぞ」 釧を取り巻く殺気が爆発し、ビリビリと陽平の身体に叩き付けられる。 素早い踏み込みで陽平の間合いを殺し、掌打が鳩尾を正確に打ち抜いていく。 僅かに遅れて後ろへ飛ぶが、それさえも見抜いていたのか、更に踏み込んでの足刀蹴りが陽平を軽々とぶっ飛ばす。 「くそッ!!」 転がりながらもなんとか体勢を立て直し、釧の放つ投刀を叩き落とす。だが、それを隠れ蓑に釧の凶刃が陽平の喉元へ突き刺さ── 「舐めるなッ!!」 陽平が同様に放った刃が釧の刃を内側に逸らせ、更に内側へと打ち込むことで釧の攻撃を弾き返す。 先日、椿からコピーした技だが、これには意表をつかれたらしく、釧は離れた位置に着地すると少し感心したように「ほぅ」と呟いた。 「その動き、あの女のものか」 そういえば釧と椿は一度対面しているのだ。知っていても不思議はない。 だが、その言葉に風魔の兄妹がゆらりと立ち上がる。 「お前、椿姉ぇに…」 「姉さんになにをしたんです」 柊と楓の問いに、釧は嘲笑で応える。 だめだ。バラバラに戦って勝てる相手でもなければ、怒りに任せて勝てる相手でもない。 (どうする、どうしたらこいつを上回ることができる) 遠くでへたり込んでいる翡翠を後目に、陽平は手にしたクナイを強く握りしめる。 普通にやって敵う相手ではない。それならば… 「影分身ッ!!」 影衣に込められた術の一つを解放すると、周囲に全く同じ姿の陽平が1人2人と現れていく。 瞬く間に10人まで増えると、その全てが飛閃の構えを取る。 「先輩っ!?」 「アニキ、それかなりムチャがある!!」 後輩2人の言葉など右から左。大して興味もなさそうに視線を向ける釧に10人が一斉に飛び出した。 「くらいやがれッ! 嵐葉飛閃陣【らんようひせんじん】ッ!!」 釧に向けて放たれた10人分の飛閃が、まるで嵐に舞う木の葉のように釧を覆っていく。 「こんなもの…、風遁烈風壁之術【れっぷうへきのじゅつ】!」 釧の周囲に術が発動し、竜巻が無数のクナイを遮る壁となる。 刹那、その竜巻の真上から降りてきた陽平に釧は予測済みとばかりにクナイを突き出した。 だがそれさえもフェイク。貫かれ消え失せる分身に、初めて釧の表情が驚きに変わる。 「ガラ空きだぜっ! 火蓮脚ッ!!」 驚きからか、一瞬動きを止めた釧に、竜巻で切り刻まれながらも、接近を果たした陽平は全身のバネを最大限に利用して連続蹴りを放つ。 「言ったはずだぞ! その蹴り、俺には通じん!」 柊と同様にすくい上げるように蹴り上げられる陽平。だが、その陽平がニヤリと笑みを浮かべたとき、既に釧の頭上には陽平本人の姿があった。 「随分と不安定な体勢じゃねぇか! 通じるかどうか、もう一度くらいやがれっ!!」 真上から落下と同時に放たれた火蓮脚が、棒立ちの釧に襲いかかる。 何重もの絡め手を張った甲斐があった。釧は完全に体勢を崩し、受け身を取ることもままならないまま吹っ飛ばされる。 「くっ…!?」 思いがけない攻撃に油断したのか、釧は膝をつきながら顔をしかめる。 「詳しい力はわからねぇが、てめぇの鬼眼だって同じ眼だ。視界を封じりゃ能力は使えねぇだろ」 それに油断もあったはずだ。飛閃は通じない≠ニいう驕りが生み出した油断が。 「少しは…マシか」 「負け惜しみ言いやがって!」 だが、ゆらりと立ち上がる釧に対し、陽平の足が僅かに後ずさる。 身体が、手足が気持ちについていかないもどかしさに、陽平は苛立ちから脚に拳を打ち付ける。 「もう一度だ! 影分身ッ!!」 再度、分身して飛びかかる陽平に、釧は手にした獣王式フウガクナイを網状に走らせる。 切っ先の描く軌跡が10人もの陽平を同時に切り裂いた。 「風雅流天之型、輝針【きしん】」 凄まじい速度で斬りつけられた分身はいとも容易く消え失せ、陽平自身もまた高速の刃の餌食となる。 「ぐあぁっ!!」 咄嗟に腕を交差して防御したのだが、刃は影衣を切り刻み、陽平は全身から赤い筋を滴らせる。 「鬼眼など、俺にとっては武器の一つでしかない」 「ざけンなッ!! 柊と楓をやったのは鬼眼じゃねぇかよ!!」 などと威勢良く吠えてはいるが、釧の言葉が真実であることは肌で感じている。 技量、経験、能力、どれを取っても現在の勇者忍軍が敵う相手ではない。 その時、派手な爆音と共に大量の砂埃が陽平たちの姿を包み隠していく。 どうやら森王之射手の攻撃が黒色の獣王を吹っ飛ばしたらしい。 それ幸いにと陽平たちはその場を離れ、翡翠を抱き上げて更に釧との距離を置く。 「ようへい…っ!」 陽平を心配していたのか、それとも変わり果てた兄に対する悲しみか、翡翠は陽平の胸に顔を埋めると痛いほどに強くしがみつく。 「ちくしょう! なんだってんだよ…」 吐き捨てるような陽平の言葉に、柊と楓も面目ないと俯く。 ふと、二人に話していなかったことがあったことを思い出した。先ほどの反応から察するに、二人は姉を心配していたようだしやはり伝えておくべきだろうと、陽平はそういえばと言葉を切り出した。 「あの野郎、椿さんにも手ぇ出したみてぇだぞ」 陽平の言葉に、楓がそうですか、とだけ呟き目を伏せる。 「姉さん、そんなことは一言も…」 楓の言葉に当たり前だろ、と並ぶ柊。 「オイラたちには言う必要もないってことじゃないの?」 そんな柊の台詞に陽平は複雑な表情を浮かべた。 椿は別に二人を信じていないわけでも、蔑ろにしているというわけでもないのだろうが。この二人の持つわだかまりは、こと椿に関しては考えをねじ曲げる性質があるらしい。 (これはこれで、なんとかしてやりてぇけどな…) だが、今は目の前の難敵をどうにかしなければならない。 そんなことを考えながら、獣王と森王之射手の足下まで走り、抱き上げていた翡翠を降ろす。 「光海、そっちはどうだ!?」 「信じられないくらい強い。今のだってたまたま当たったようなものよ。たぶんもう同じ手は通じないと思う」 森王之射手から聞こえる光海の声に疲れが見える。どれだけ矢を射ろうとも当たることのない的に、光海の精神はあっという間に削られているようだ。 光海と同じ考えらしく、獣王もまた大きく頷いた。 クロスフウガに合体すれば黒い獣王に勝てるかもしれない。しかし、そうすれば釧という強敵を柊と楓に任せてしまうことになる。 「クロス、こっちも一筋縄じゃいかねぇ。頼めるか?」 「任せてくれ」 パートナーの頼もしい言葉にサムズアップを交わし、陽平は砂埃のカーテンが開いていくのをじっと待つ。 そして、ようやく視界が開けた瞬間、陽平だけならず勇者忍軍全員に動揺が走った。 一方、砂埃のカーテンの向こうでは、釧とカオスが合流していた。 「どうだ、カオス」 「なかなかどうして。容易く決めさせてはもらえないようだ」 ひざまずく黒色の獣王に、釧はそうか、とだけ呟くと、己が手にした大振りのクナイの柄尻に視線を落とす。 陽平のものよりもやや赤みの強い勾玉の表面が釧の顔を写し出し、彼の心情に呼応するかのように幾度か明滅を繰り返す。 「あの影衣の男、今はただの雑魚にすぎんが、まだ強くなる」 「ならば、そうなる前に…」 カオスの言葉に頷き、釧は獣王式フウガクナイを天に向けて掲げた。 「獣王もろとも始末する! 来い、獣王の黒衣よ! ナイトメアグリフォンッ!!」 召忍獣之術が発動した勾玉は黒よりも尚深い黒を生み出し、巨大な水泡のように膨らんでカオスと釧を包み込んでいく。 混沌。そう言って差し支えない空間に青い双眸が浮かび上がり、広がる刃翼が卵の殻を破るように周囲の闇を引き裂いていく。 それと共に砂埃を吹き飛ばし、銀翼の獣が陽平たち勇者忍軍の目に晒される。 「あれは…忍獣かっ!?」 陽平の声に釧が目を細める。 「見るがいい。混沌の獣王の姿を…」 その獣と、その手に握られた巻物が意味するところを陽平は知っている。故に真っ先に身体が反応していた。 「やらせるかぁッ!!!」 だが、忍獣ナイトメアグリフォンの爪が陽平の斬撃を容易く受け止め、軽々と弾き飛ばしていく。 「風雅流奥義之壱──」 「ならばっ!!」 すかさず咆哮を上げた獣王が飛びかかるが、黒い獣王のショットクナイがそれを制する。 「三位……、一体ッ!!」 巻物が封じた術が広がっていく。 連なる文字が帯となってカオスとナイトメアグリフォンを包み込み、釧の身に巨大な黒衣を纏わせていく。 陽平たちが驚愕に固まる中、舞い降りたその姿に誰もが息を呑む。 額で輝く水晶に浮かぶ印、刃の連なった奥義状の翼、そして胸に携えた黒い獅子。唯一違うのは左肩にある猛禽類の頭。 しかし、それは間違いなく最強の忍巨兵、獣王クロスフウガの姿であった。 「こ、こいつは…」 驚愕する陽平に、それはゆっくりと目を向ける。 「獣王式忍者合体…、カオスフウガ」 |